ベンチづくりの記録 その2 -エイジング加工編
こんにちは、家具職人のヒロです。
「ベンチを作る」の三回目になります。
前回のブログは座面板を加工についてお話ししました。
だいたい仕上った状態まで加工を終えたところです。
今回は、その座面にエイジング加工を施していきます。
エイジング加工とは
Googleで検索しますと『長年使い込んで経年劣化しているように見せる加工方法』とのこと。
私はエイジングの専門家ではありませんので、いわば“なんちゃってエイジング”になるかもしれませんが、工場にある道具を使ってできる方法で実践してみました、今回はその様子をご紹介します。
目指す仕上がり
浮造り(うずくり)という加工をご存じでしょうか?
木目には「冬目(ふゆめ)」という硬い部分と、「夏目(なつめ)」という柔らかい部分がありますが、
この夏目に部分だけをブラシなどで擦って削ると、表面に凹凸が生まれ、陰影がついたかっこいい仕上がりになります。
これを「浮造り」と呼ばれ、見た目や触感の良さを出すために、あえて施す技法です。
今回のベンチでは、この浮造りのような表情が「自然に長年使われたことで現れた」ように見える加工を目指します。
西宮工場のエイジング例
こちらは、西宮工場の入口建具です。
風雨にさらされたことで、木目の凹凸がかなり深くなっています。
ベンチの場合はここまで深くする必要はないと思いますが、このような自然な経年変化に近づけることを目指しました。
専用機械と代用品
本来であれば、マキタ社のホイールサンダーなどの専用機械が便利です。
この機械にはスチールやナイロンのブラシがあり、削られ方や仕上がりが異なります。
使っていてもとっても楽しい機械です。
…とはいえ、西宮工場にはこれらの道具がなかったため、別の方法で代用しました、
実践!ハンドグラインダーでの加工
今回使用したのは、ハンドグラインダー。
スチールブラシを装着し、錆取りの要領で削っていきました。
表面にそっと当てていくと、いい感じに削れていきます
ところが…
力加減が難しく、ちょっと強く当ててしまい削られた部分が毛羽立ってしまいました。
さて、どうしましょう。
毛羽立ちとの闘い
毛羽立った部分の処理には本当に苦労しました。
・紙ヤスリ → 凹みに入らず効果なし
・スポンジやたわし → 微妙
・ナイロンブラシ → あまり効果なし
・濡れた布・乾いた布 → 変化なし
いろいろと試した結果、なんとなく落ち着いてきたので…今回は“良し”としました(笑)
(あくまで事務所用なので…!)
座面完成!
座面の板が仕上りました。
耳の部分(板の端)もかっこよく仕上がったのではと思います。
いかがでしょうか?
次回予告
次回はいよいよ脚部を製作に取り掛かります
どうぞお楽しみに!