洗練の収納美とホテルライクな上質さを備えた邸宅 ―大阪市M邸―

ものづくりの現場に携わり、空間やデザインにも豊富な知識をお持ちのMご夫妻。
現在はご夫婦と愛犬1匹で暮らしており、お子様はすでに独立されています。ここからは、お二人にとってのセカンドステージ。今回のリノベーションは、これまでのご夫妻の歩みに対する“ご褒美”として形にした住まいでもあります。
旦那さまは現在も仕事一筋。ほとんどの時間を仕事場で過ごすため、家づくりでは奥様がより暮らしやすい空間を整えることが大きなテーマとなりました。キーワードは「ラグジュアリー」。これまでご夫妻が旅先で訪れたお気に入りのホテルをイメージし、贅沢で上質な空間を描き出しています。
ご依頼のきっかけは、Re:MansionのYouTubeをご覧いただいたこと。要望に応えられる対応力や、安心して任せられる技術を持つ施工会社を探されていたそうです。
旦那さまは、難易度の高い依頼にも応えられる卓越した専門性を備えた方。今回のプロジェクトも、その知見とアドバイスを随所に反映しながら、私たちと共に二人三脚で住まいを形にしていきました。
上質なこだわりの数々を、じっくりとご覧ください。
竣工:2024年2月
立地:大阪市内タワーマンション
目次
- 特別な一歩を迎えるラグジュアリーエントランス
- 重厚さと開放感を両立した上質なリビング空間
- 家具と空間が響き合うラグジュアリーダイニング
- 使い慣れた動線を活かした暮らしやすいキッチン&水回り
- オリジナル家具が叶える非日常と実用性を兼ね備えた洗面
- 鏡と造作家具で広がりを演出したリゾート感漂うトイレ
- ラグジュアリーと静けさが調和する大人の寝室
特別な一歩を迎えるラグジュアリーエントランス

玄関に足を踏み入れると、まず目を引くのは、床に貼られたリビエラ社のタイル「マーヴェルクス」。グレーがかった大理石調の表情は、上品なツヤをまとい、程よい高級感を醸し出します。
Mさまが何度もショールームに足を運び、ようやく出会えた特別な一枚。人気ゆえに在庫の確保にも苦労されたそうです。
■エントランス床面
「RIVIERA/MARVELUX(リビエラ/マーヴェルクス)フィオル ディ ボスコマット」

玄関まわりは「収納力」をテーマに計画しました。天井近くまで立ち上がるシューズボックスには可動棚を設け、ご夫妻それぞれの靴や季節ごとのアイテムをすっきり整理。シックな扉面材は空間に自然に溶け込み、収納力とデザイン性を両立しています。

さらに玄関横には大容量のシューズインクローゼットを備えました。打ち合わせ時に実際の荷物を拝見しながら、一つひとつの収納場所を検討。工事中も旦那さまが現場に足を運ばれ、調整を重ねたことで、最大面積で最大収納量を実現しています。

照明では、ラグジュアリーな雰囲気を引き立てるために、陰影を活かす光を随所に取り入れました。大理石調タイルを美しく照らし出すよう、収納下に間接照明を配置。壁際には奥様が飾られたボタニカルディスプレイが浮かび上がり、柔らかな光が花材の質感を際立たせています。
天井には、集光タイプのダウンライトを採用。限られた範囲を効果的に照らす光は、空間に陰影と奥行きを生み出してくれる一方で、単体では明るさを確保しにくいことも。2灯を組み合わせることで明るさを確保しつつ、ラグジュアリーな演出をプラス。ドアの開閉部や通路など必要な場所を照らし、安心感のある動線を支えています。

LDKへと続くのは、KAMIYAのフルハイトドア。
天井まで届く伸びやかなフォルムが視線を縦に導き、空間全体に開放感をもたらします。両サイドに設けられたガラスは、エントランスからLDKへと視線をつなぎ、奥行きのある広がりを演出。住まいの顔となる場面にふさわしい、特別な存在感を放っています。
この扉は、旦那さまが特にこだわって選ばれたもの。大型サイズならではの重厚感を備えながら、開閉の動きは驚くほど滑らかで上質です。手前にも奥にもゆったりと開くスイングタイプならではの動作が、日常のワンシーンに優雅さを添え、暮らしに特別な高揚感をもたらしてくれます。
■LDK扉
「KAMIYA/CAESAR(カミヤ/カエサル)HG-2型 ブラックウォルナット TO(マット仕上げ)
重厚さと開放感を両立した上質なリビング空間

エントランスからガラス越しに視線がつながるLDKは、空間全体に一体感を持たせるようデザインしました。

ご夫妻からのリクエストは「ラグジュアリーな空間」。そのご要望に応えるため、グレージュと濃いブラックを基調とした落ち着いた色合いを選び、高級感を軸にデザインを展開しました。
ただし、重厚さばかりが前に出ると圧迫感につながるため、天井には同じテクスチャーを保ちながらも白みを帯びたクロスを採用し、奥行きと高さを感じさせる工夫を凝らしました。

特に印象的なのは、梁を活かしたコーブ照明。タワーマンション特有の凹凸をただ隠すのではなく、照明を仕込むことで“造形”として成立させました。光がやわらかに広がり、梁そのものが洗練されたアクセントとなり、陰影が空間全体に上品なリズムを与えます。

リビングの主役ともいえるテレビ背面には、大判タイル「リビエラ マーヴェルクス/フィオルディボスコ 磨き」を採用。存在感を保ちつつも重すぎない印象に仕上げました。
イタリア・トスカーナの希少な大理石をモチーフにしたこのタイルは、深みのあるグレーのなかに走る金色の曲線が印象的で、静けさの中に洗練された華やぎが漂います。
柔らかな陰影と豊かなグラフィックが空間に奥行きを与え、ラグジュアリーなリビングにふさわしい上質な表情をもたらしています。
■テレビ背面タイル
「RIVIERA / MARVELUX(リビエラ / マーヴェルクス)フィオルディボスコ 磨き」

テレビボードはリマンションよる特注家具。黒系の石目調メラミン化粧板「アイカ・セルサス」を採用し、タイルの存在感を引き立てつつ、控えめながらも上質な仕上がりにまとめました。
セルサスは耐久性の高さに加え、指紋が目立ちにくいマットな質感を備えた化粧板。光の反射を抑えることで柄が鮮明に浮かび上がり、家具全体をより洗練された印象へと導きます。
■テレビボード面材
「AICA/セルサス(指紋レスメラミン化粧板)TJ-10237K」

窓際には天井まで届くフルハイトのサッシが広がり、外の眺望をまるで一枚の絵画のように切り取ります。
光・素材・色彩のすべてを計算し尽くしたリビングは、高級感と居心地のよさを同時に叶える空間として、ダイニングへと緩やかにつながっていきます。
家具と空間が響き合うラグジュアリーダイニング

リビングと視線がつながるダイニングも、空間全体のコンセプトに沿ってラグジュアリーに仕上げました。
壁面にはリビエラのマーヴェルクスをあしらい、テーブルの石目模様と呼応させることで統一感を演出。グレージュやブラックを基調にしながら、梁を活かしたコーニス照明で光を柔らかく広げ、圧迫感を与えることなく上質な佇まいを実現しています。
この梁も、単に存在を隠すのではなく「意味あるデザイン」として昇華させたもの。照明を仕込むことで造形として美しく成立させ、柔らかな光が空間に豊かさと奥行きをもたらしています。

また、この空間の核となる家具はすべてMさま自身のセレクト。長年大切にされてきたチェアや照明を引き立てるため、空間はあくまで「脇役」として設計されています。
家具の存在感を損なわず、その魅力を際立たせる背景として整えることで、洗練された調和が生まれました。

そして、ひときわ目を引くのがダイニング横に設けたワインセラーとショーケース。
ご夫妻の「キッチンのすぐそばに」というご希望に応じ、タワーマンション特有の柱に囲まれたスペースを活かして配置しました。

既製品のワインセラーを組み込み、上部にはRe:Mansionの工房で製作したショーケースを設置。内部に仕込まれた照明がグラスを煌びやかに浮かび上がらせ、訪れる人の視線を自然と引きつけます。
この設えは、MさまがリマンションのYouTube事例をご覧になり「ぜひ取り入れたい」とご依頼くださったもの。大切にコレクションされてきたグラスとともに、日常を特別なひとときへと変える象徴的な存在となっています。

ダイニングからリビングへと目を向けると、タイル壁や照明、家具が一体となった調和が一望できます。大きな窓から注ぐ光と、奥へと続く伸びやかな視界が、日常の食卓を越えた開放感を生み出し、暮らし全体を上質に包み込む空間となりました。
使い慣れた動線を活かした暮らしやすいキッチン&水回り

キッチンは、奥様が普段から使い慣れてきたスタイルを大切にし、そこに快適さをプラスしました。

コーヒーメーカーや電子レンジ、食洗機といった家電も、慣れ親しんだ配置をベースに、動きやすい導線をそのまま引き継いでいます。システムキッチンのメーカー選定も奥様ご自身で行い、長く寄り添える「自分らしいキッチン」になりました。

また、新たにパントリーを設けたことで、備蓄品や家電をすっきり収納。わずかな隙間も無駄にせず収納スペースへと変えることで、暮らしやすさに直結する収納力を最大化しました。

照明についても「明るめにしたい」という奥様のご希望に応え、調理中に手元が暗くならないよう工夫。完成後にはご自身でさらに照明を追加されるなど、日々の使いやすさを大切にされています。

キッチンからは、洗面やバスルーム、リネンスペースへと一直線につながる快適な動線を確保。日中の多くをこの空間で過ごされる奥様が、家事や身支度を効率よく行えるように配慮しました。

洗面所に隣接するリネンスペースには、洗濯機・乾燥機・ランドリーボックスを一か所に集約。さらにタオルや洗剤を高さに合わせて収められる収納を備え、機能性と使いやすさを両立させています。
家事の合間にすぐ手を洗えたり、洗濯から片付けまでの一連の動作がスムーズに移行できたりと、日常の所作が自然に流れる間取りです。

掃除機をすぐに取り出せる場所に配置するなど細やかな工夫も盛り込み、清潔さを保ちやすい環境を実現しました。機能性と快適性を兼ね備えた、暮らしに寄り添う動線設計です。
オリジナル家具が叶える非日常と実用性を兼ね備えた洗面

洗面スペースは、まるで高級ホテルのパウダールームのような仕上がり。
Re:Mansionが手掛けたオリジナルの洗面化粧台は、奥様が座ったままメイクできるちょうど良い高さに設計。さらに、引き出しは毎日使う化粧品のサイズに合わせて作られており、無駄なスペースを生むことなくすっきりと収められる工夫が施されています。
日々の動作に寄り添う工夫が、贅沢でありながらも実用的な空間を形づくっています。

洗面の天板には、天然水晶を主成分とする高級人造石 AICA「フィオレストーン」 を採用。
独特の奥行感と滑らかな手触り、深みのある光沢が空間を格調高く彩り、水分や汚れが染み込みにくい特性は日常の使いやすさにもつながります。
■洗面化粧台天板
「AICA フィオレストーン ホワイトクレイ(HK-WD05)」

ミラーボックスは、Mさまがショールームで出会われたPanasonic製を採用。シーンに応じて光色を変えられる照明付きで、メイクアップがよりスムーズに。
さらに上下に間接照明を追加することで、空間全体を柔らかく照らし、石材の質感を際立たせ、ラグジュアリーな雰囲気を高めました。
壁面にはリビエラ社の「フラメンタ」 を採用。イタリア語で“かけら”を意味する名の通り、天然石チェッポディグレをモチーフにしたタイルで、ミラノ建築の外構にも多用される意匠です。優しい色合いの中に浮かぶ粒模様が、洗面空間にリズムと豊かな表情をもたらしています。

■洗面壁面
「RIVIERA/FRAMMENTA(リビエラ/フラメンタ)ビアンコ外用 ZE-0621」

グレージュやブラックを基調とした他の空間に対し、洗面は白を基調としたアジアンリゾートのような軽やかな表情に。非日常感と機能性が美しく調和した、奥様のための特別な場所が完成しました。
鏡と造作家具で広がりを演出したリゾート感漂うトイレ

トイレは当初、空間の狭さが大きな悩みでした。その課題を解消するため、まずは既存よりも面積を広げ、さらに鏡を大きく設置して視覚的な広がりをプラス。
加えて壁面に木製パネルをあしらい、奥行きを強調することで、限られた空間にも伸びやかさを感じられるよう工夫しました。
手洗いカウンター下にはリマンションオリジナルの収納家具を設置。トイレットペーパーや掃除用品をすっきり収められるため、余計なものを出さずに済み、常に整った印象を保てます。高さやサイズも細部まで調整し、無駄のない美しい収まりを実現しました。

天板には、天然水晶を主成分とした高級人造石、AICA「フィオレストーン」を採用。独特の手触りと、光沢を併せ持つインテリアストーンは、水分や汚れが染み込みにくく、清潔で衛生的に使えるのも特長です。機能性と意匠性を兼ね備えた素材が、トイレ空間に上質さを添えています。
■トイレ 造作手洗い天板
「AICA/Fiore Stone(フィオレストーン)HK-WD05」

壁面には洗面室と同じリビエラ社の「フラメンタ」を採用。自然な色調が空間に調和し、Mさまご自身が飾られた石や流木と相まって、リゾート感あふれる雰囲気を演出しています。
日常の中でも特別感を味わえる、こだわりのトイレスペースとなりました。
ラグジュアリーと静けさが調和する大人の寝室

扉を開けた瞬間、まず視線を奪うのは正面に広がるタイルの壁。その重厚で豊かな表情を背景に、盆栽が凛と佇み、まるでアートピースのような存在感を放っています。ホテルライクな空間に和のエッセンスを融合させた、静かに心を惹きつける光景です。

壁に採用されたのは、イタリア産トラバーチンをモチーフにしたリビエラ社の「タッチストーン」。脈模様がダイナミックに走るベインカットの表情を活かし、天然石特有の質感を精巧に再現したタイルです。光を受けることで奥行きのある陰影が生まれ、寝室全体をラグジュアリーに彩ります。
■寝室正面壁面
「RIVIERA/TOUCH STONE(リビエラ/タッチストーン)ベインカット ブラウン磨き ZE-1214」


スポットライトに照らされる盆栽とアート。陰影豊かなタイルの質感に、鉄とゴールド、そして盆栽やアートが響き合い、空間に個性と洗練された遊び心を添えています。

お部屋全体も、快適さと美しさを両立するよう綿密にデザインしました。ベッドヘッドには顔を直接照らさない間接照明を配し、柔らかな光で包み込むように演出。必要最小限のダウンライトで陰影を際立たせ、都会のホテルを思わせる上質な寛ぎを実現しています。
普段から仕事に打ち込み、家にいるのは夜のひとときだけという旦那さま。そのライフスタイルに寄り添い、夜の時間を想定して設計された空間は、限られた時間を心からくつろぎ、英気を養う場になっています。

また、壁面のニッチは黄金比を意識して設計され、置かれるオブジェを一層引き立てます。
ベランダ側の壁にはエアコンを埋め込み、存在感を抑えてすっきりと収めました。設置されたのは、ダイキン「risora SXシリーズ」。奥行わずか185mmの薄型デザインに、ノルディックブラウンの上品な色味をまとい、空間に自然に溶け込んでいます。
機能性と意匠性を兼ね備えた一台が、ラグジュアリーな寝室の雰囲気を損なうことなく快適性を支えています。
■エアコン
「DAIKIN/risora S223ATSS(ダイキン/リソラ)カラー:ノルディックブラウン」
ラグジュアリーでありながらも落ち着きを感じさせる、旦那さまだけの特別な空間。住まい全体のなかでも、ひときわ気品と個性が際立つ寝室となりました。

今回のリノベーションは、一般的なお客様とは一線を画す、建築やデザインに深い知見を持たれたオーナーさまとの協働でした。知識も審美眼も豊かな旦那さまから学ばせていただくことが多く、私たちにとっても大変刺激的で、成長へとつながるプロジェクトとなりました。
特に印象的だったのは、旦那さまが毎晩のように現場に足を運ばれ、照明器具や椅子を持ち込んで実際の空間を体感しながら検討されていたこと。現場に「自分の居場所」を築かれ、細部まで一緒に考えてくださる姿勢は、まさにプロフェッショナルならではの真摯なこだわりでした。
その熱意に応えるため、私たちも柔軟に対応し、ときにご提案を差し替えながら最良の形を模索。単なる依頼者と施工者の関係を超えた二人三脚のプロジェクトだったと感じています。
こうして完成したのは、ご夫妻の個性と感性が息づく唯一無二の住まい。この経験は、私たちにとっても忘れがたい財産となりました。
Mさまご夫妻の新たな日々が、この住まいとともにより一層豊かで心地よいものとなりますように。この度は大切なお住まいづくりをお任せいただき、誠にありがとうございました。
WORKS DETAIL施工事例データ
- 住所
- 大阪市内タワーマンション
- 施工箇所
- リノベーション